私と連れのにゃんた君は千葉県市原市の姉ヶ崎公園というところにいた。 何でもここにはＪリーグＪＥＦ市原千葉の練習場があるということである。 しかし我々は練習場を見に来たのではなく、そこに併設されているというモオノキなる物を見に来たのだ。
訪ねた当日はトップチームは公式戦の翌日で練習は休み、ユースチームは別の会場で練習試合があるということで 残念ながら件のモオノキは開店していない。しかしこの際贅沢は言っていられない。 モオノキが無くなってしまっては元も子もないのだ。
姉ヶ崎公園は国道１６号線の側にあった。 国道を挟んだ反対側は工場が建っている。というか蘇我からこちらはずっと工場が建ち並んでいるばかりだ。 ここは京葉工業地帯のど真ん中。ＪＥＦのホームスタジアムの市原臨海だって同じような環境である。
おりしも、駐車場にはジェフのユースの子たちが、今日の試合に向かうためか、 マイクロバスに乗り込んでいるところであった。
そういえば、我がチームの酒井はここのユースの出身であった。 彼は確か当時都内に在住していたと記憶している。ということはここまで通っていたということになるわけだ。 果たしてサッカーをするための環境として適しているのかはわからないが。
駐車場を抜け、公園内に入ってゆくと、芝生のグラウンドが眼前に広がった。 そしてその傍らに小ぢんまりと佇んでいる建物が見えた。
近づいてその全貌が明らかになってくるにつれ、その素晴らしさに私は思わず声を上げてしまった。 にゃんた君はさきほどから見とれるばかりである。
無駄な装飾を廃しシンプルでありながら、同時にぎゅっと凝縮された塊感を感じさせる
『グッズを売る』という最低限の機能を愚直に追及した機能美。 『人を百人のせる』となどという余計な付加価値を売りにしている某物置に見習わせたいものだ。
仮住まい的な姿に反し、関東地方の酷暑に耐えるべくエアコンが装備されているのは当然として、 その中には電話さえ装備されているというから驚きだ。こう見えて実は近代的なのである。
デザインにも決して手を抜かない。『Offical Shop』の字体の素晴らしさには心底感嘆するばかりである。
思えば、レディアが絶滅危惧種に指定されて４年。 その後順調かつ適切に保護活動が行われ、現在のところひとまず絶滅の危機は免れている。
今はこの『モオノキ』こそ絶滅危惧種に指定し保護するべき存在ではないか。
実際に今日実物をこの目で確認し、あらためてその感を強くした。
我々は、レッドボルテージの連日の盛況に満足している場合ではないのかもしれない。
（完）
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