１．前からやだったんだよな〜〜〜
１１月３日 土曜日、曇り。
私、にゃんた２号の三十うん回目の誕生日である。
そんなことはどうでもいいのだが、とにかく寒い。
そのうえ、９時羽田発の飛行機に乗るためには、
埼玉県北部に住む人間にとっては、新聞配達とまでは言わないものの、
牛乳配達くらいの早起きをしなければならない。
私とにゃんた（以下１号）は、着膨れの背中を丸めながら、
平日なら通勤時間帯よりもさらに早い時間の高崎線の乗客となった。
上野、田町で乗り継いで、モノレールで羽田へ向かう。
モノレールの羽田空港駅でTANEZO君（以下Ｔ君）と待ち合わせ。
無事落ち合う。
同時多発テロの影響からか、ボディチェックの列が思いのほか長い。
ポケットからキーの束を取り出してトレイに載せる。
そして例のゲートをくぐる。何の反応もなし。
当然だ、こんな真っ赤な服を着ているテロリストがいてたまるか。
でも後ろについてきてたはずの１号が来ない。
見ると、警備のおねえさんにボディチェックを受けているではないか。
そしてもう一度ゲートをくぐる、また反応。
再度ボディチェック。でおねえさんからのとどめの一言
「刃物とか持ってませんか？」
それに対し１号、
「持ってるわけないじゃない、失礼ねっ！」
とまるで不当な判定をされたペトロビッチのように
怒りの一言をおねえさんに浴びせたのだった。
なんだかんだあったものの、我々は無事千歳行きＪＡＳのエアバス機に
乗り込んだのだった。
ジャミラは水に弱い。
グーはパーに弱く、峰竜太は海老名美どりに弱い。大分は山形に弱く、
浦和はここぞというゲームに弱い。そして私
は飛行機に弱い。 遊園地ではジェットコースターよりも観覧車に弱く、
灯台や高層ビルに上るのにも弱い。弱いったら弱い！
離陸、着陸はもちろんのこと、旋回とか気流の乱れによる揺れとかには特に弱い。
この日は西高東低の気圧配置により、北方面では結構気流が不安定だった・・・。
あまっさえ、我々が乗ったＪＡＳ機は「着陸許可が下りない」
とかで千歳上空で２０分ほど旋回を繰り返した。
私はその都度、１号の発する嘲笑の混じった眼差しにじっと
耐えねばならなかった。
２．なかなかいいものを見せてもらった
上空で２０分も旋回したからかどうかしらないが、
とにかくＪＲ千歳線経由小樽行き快速エアポートはとても混んでいた。
札幌駅から、この列車にＭｉｔｓｕｅさん（以下Ｍさん）が乗ってくる予定なのだが、
無事に会えるかどうか少々不安になった。
Ｍさんは前日に札幌入りしているのである。
何故なら彼女は今回が初めての北海道なのだ。
我々のように、今日来て明日帰るという
ビートルズ日本公演のような日程では
あまりに寂しいということで、前日の入りとなった。
そんな訳で、今回は少しでも観光が出来るようにと
ドームはＴ君のコネをフルに活用し指定席券を買っており、
空港から小樽観光へ直行することにしたのである。
余談ながら、この日の北海道は厚い雲が垂れ込め
小雨そぼ降る少し肌寒い天気であった。
「こんな日に並ぶのはやだな。指定席で正解だ。」
この時は確かにそう思っていた。
混んではいたが、札幌でうまくＭさんと合流はできた。
でも札幌でかなり降りるだろうという予想は裏切られ、
全然空かない車内に立ちんぼのまま小樽へ向かった。
やがて電車は小樽の駅に滑りこんだ。
ホームに降りた我々を出迎えたのは「るたお」の大きな文字。
レトロ風を売り物にしている小樽の観光用の看板らしい。
一番前を歩いていた私が、
ほらほら「るたお」だよと
１号に話しかけるより早く、
彼女は既に
「ほらほら、るたお、るたお」
とひとりで盛り上がっていた。
そのあと、後ろを歩いていた
幼稚園児らしき子供からも
「あっ、るたおだって！」
「幼稚園サッカー」を
売り物にするチーム
のサポーターにふさわしい
心暖まるひとこまであった・・・。
駅からは、
寿司屋（適当に入ったがなかなかおいしかった）
↓
手宮線跡（翌日の新聞によるとこの日開放だったらしい）
↓
運河（関西弁のダミ声オヤジがうるさかった）
↓
北一ガラス（間違って商品を割りそうで恐かった）
と、まるでガイドブックの如き「正しい小樽観光ルート」をたどる。
そしていよいよ本日のメインイベント（←サッカーは？）
「石原裕次郎記念館」へ向かうべくタクシーを拾った。
ドライバーは大変フレンドリーな方だった。
２ｋｍ程度しか離れていない距離でも、快く乗せてくださった。
裕次郎記念館は小樽の街の東端、「マイカル小樽」の隣にある。
クルマは交差点を２〜３回曲がり、やがて目の前にうすらデカい建物が見えてきた。
こいつがそのマイカル小樽。サティやマイカルや映画館の入った
「複合ショッピングモール」なんだそうである。
ドライバーさんによると、建物の一辺が８００ｍもあるそうな。
彼は更に続けて「人口１５万の小樽の街に、こんなデカい
ショッピングセンターなんか必要ないよ」 まったく同感。
しかし、この不景気にこんな豪気なモノを作って案の定ダメになっちゃうなんて
実は他人事とは思えなかったりもする。
うちのチームも、去年・一昨年、うすらデカい奴に
頼ってダメになっちゃったじゃん。
裕次郎記念館では、入り口の前で、
裕次郎と同世代ながら裕次郎とは似ても似つかないオヤジたちが
嬉しそうに記念撮影をしていた。
それに習って、我々も記念撮影をしたのち、中へ入る。
裕次郎は、３０代後半の私にとっても、「七曲署のボス」のイメージしかない。
増してや２０代のＴ君にとっては「ただの中年太りのオッサン」ってしか思えないだろうな。
はっきり言って、こういう機会でもない限りまず来ない場所ではある。
でも館内に入ってみると意外や
楽しかった。
「ネクタイが太い」と言っては
うひゃうひゃ喜び、
太陽にほえろのスチール写真に出てくる関根恵子の足が太いと言っては騒ぎ、
極めつけはディスコグラフィのコーナー、
「裕次郎の部屋」とか「裕次郎のクリスマスチャペル」とか
恥ずかしい過去コーナーに出てきそうなＬＰレコードが目白押し。
結論としては１５００円の価値は充分あると思う。
真剣な裕次郎ファンの方には大変失礼しました。
さて記念館から出たところで時計を見ると午後３時前。
キックオフが午後７時なので、小樽を４時に出れば札幌でホテルに寄っても
余裕だなとふんでいた。
そこで、お茶でも飲んでから札幌に向かおうと、マイカルの中を捜すが、
あまり適当な店が見つからない。
じゃあ、ちょっと早いけど札幌へ戻ってお茶しようと、小樽築港の駅に向かった。
駅ではちょうど岩見沢行きの区間快速電車が到着したところで、
我々は、慌ててその電車に乗り込んだ。
その時点では、まさかこれからアクシデントに巻き込まれるとは、
想像すらしていなかった。
（以下、後編に続く）
思わせぶりな終わり方をしたが、まだ後編は書いていない。
果たして、後編をアップすることは出来るのだろうか？
そして彼らの運命は如何に！！
待て、次号！